9分丈パンツ/ロールアップブームへの疑問
ファッションの流行は、海外から流入してくるタイプのものと、日本で独自発展を遂げたものの2種類があります。昨年辺りから流行り始めた9分丈パンツとローファーの組み合わせについて、これは前者のタイプではないかと考えています。
邪推に過ぎないのですが元サッカー日本代表の中田英寿氏や現代表本田圭佑選手らの空港での姿は通称成田コレクションとして良く報じられており、それまで馴染みの少なかったロールアップスタイルを2人とも過去披露しています。但し2人とも足元はサンダルで現在国内で9分丈パンツに合わせる定番アイテムとされているローファー靴ではありませんでしたが、本田選手が私服でスリムハーフパンツに裸足にローファーの組み合わせがありましたね。時期的にもどうもこのロールアップ等で足首を見せた写真や映像が現在の流行のヒントのような気が思えてならないのです。
この足首を見せるタイプの9分丈/ロールアップのパンツについて、確かにハーフパンツ程バカンス風でもなく、カジュアル寄りでプライベートの広いシーンに対応できるものです。しかし日本人に向いているかというと疑問が湧きます。つまり9分丈パンツを履きこなすには
・足首が細いこと
・足全体も細めである事
・そもそも股下が長いこと
という3点が必須となるものです。
上半身のシャツの丈と対比し微妙に縦に短い9分丈はアンバランスな短足のイメージを生みやすい為、下半身のシルエットを長くスリムに見せないと成立しないのです。
サッカー選手はO脚が宿命で、スーツが似合わないスポーツと評されています。その為公式行事を除けば足を隠すようにラフで誤魔化し易い服装を選択する傾向にあり、ロールアップを披露した時の中田氏や本田選手はサンダルを選択して、引き締まった足首を強調しながら同時に足首より下も視覚的に長く見せるなどのギミックを加え、自分に合うスタイルへとアレンジしていました。これを9分丈着こなしの技に結び付けるとすれば定番とされる裸足にローファーとは合わせ辛いのではないでしょうか?少なくとも靴の先端は厚さが薄めのタイプのプレーントゥにするなど立体的に足首より下を長く見せる工夫が必要となります。
そもそも革靴と裸足の組み合わせは日本では難しいでしょう。革靴は呼吸をするといいます。革は靴内の湿気を外に逃がしてくれる為に価値があるのですが、本革でないと革が呼吸をせず蒸れるだけで悪臭の原因になります。また湿気の多い日本では雑菌も繁殖しやすくなり注意が必要です。
裸足で履く場合のポイントですが、まず靴下は干渉材としての価値がある他、汗を吸収し靴の中を乾燥させる効果を持ちます。余程馴染んだ革靴でないとマメの原因となり悪臭の原因になりかねないというわけです。9分丈パンツの併せに裸足でローファーが推されているようですが国内の気候で裸足にローファーは問題ありと感じます。
以上、邪推では有りましたが、乾燥した海外から持ち込まれた流行だとすれば、日本の気候はもとより体型の異なる日本人向けの流行かという面でもNoです。元バスケ部などの方なら良いでしょうが……
やはりファッションは自分が好みで、周囲から似合うと言われるスタイルを追う方が楽しいですよ。それには信用できるコーディネーターさんを見つけることも近道の一つです。流行モノを安易に勧めて来る店員さんはともかく、じっくり自分を見てくれて他にはない提案をしてくださる店員さんの話は聞く価値アリですよ!