Repo.10 事実婚 (フランス婚)メリット・デメリット
前回のレポートではフランス婚の内容についてご説明させていただきました。
今回のレポートでは、フランス婚は日本でも可能なのか、定着し得るものなのか、メリットとデメリットを中心にまとめてみたいと思います。
まずフランスと日本では当然法制度が異なります。
フランス婚(事実婚)はフランスの法制度が支える恋愛スタイルであり、社会的に事実婚が認められていない日本では勿論マイナス面も存在します。前提として、同棲と事実婚の違いを「本人同士 、また 周囲が夫婦と認めている」ことと踏まえた上で、以下ご説明させていただきます。
日本国内でのフランス婚・事実婚のメリット
フランス婚・事実婚のメリットとは
a)相手の家族と法的関係が存在しません
b)夫婦別姓でいられます
c)離婚が存在しないので、別れた際にお互い戸籍に×が付きません
d)法律婚と同等となる権利を一部有すします(財産分与請求、社会保障制度、貞操義務など
e)両者の意志だけを絆とするため、純粋に互いへの気持ちを強められるモチベーションとなり得ます
f)制度上、公営住宅の入居や携帯電話等の家族割引が可能です
d)について補足しますと、二人で共に築いた財産がどちらかの単独名義であった場合には、パートナー(*1)は財産分与の分割を請求できます。 他の制限についてはデメリットの項目でご説明いたします。
社会保障制度については各種受給権の定義(厚生年金保険法3条の2、健康保険法1条の2、労働者災害補償保険法16条の2)が適用されます。但し法的に再検討が必要と言う指摘もあります。
メリットとは異なりますが備考として、双方が独身であることが確認されれば、同一の住民票において「夫(未届)」「妻(未届)」と続柄を表記することも可能です。この住民票手続きにより、f)の公営住宅入居が可能になります。
(*1)事実婚のパートナーは、法律上内縁とされ、内縁者への定義が適用されます。
日本国内でのフランス婚のデメリット
一方、デメリットとしては次の点が挙げられます。
g)子の嫡出性の推定が認められず、無条件で非嫡出子とされます
h)パートナーと同姓を名乗れず、また一方の親と子の姓も不一致になります
i)税制上の優遇がありません (配偶者控除 etc)
j)相続財産の分与に制限があります
k)社会的信用を得にくい、生命保険の受取人に指定することが困難 etc
j)について補足致しますと、遺言で特に指定されない場合、他に相続人がなく(民法958条の2)、家庭裁判所に特別縁故者(民法958条の3)と認定させる必要があります。
選択肢としてのフランス婚
フランス婚は背景として、当時のフランス国内での女性社会進出運動も1つの大きな要素とされています。
アメリカでの同運動も支えとなったそうで、今日生活と仕事の両面をこなす女性も多く、特に育児においては長期に渡った出生率低下・人口減少を懸念した政府が手厚い家族手当(出産・乳幼児・養育・片親支援etc)を制度化し、婚姻者と同等となる整った環境が存在します。
1つのスタイルとしてフランス婚という形態が、今後の日本で選択肢を得ることも考えられます。
但し現時点では、配偶者控除など税制上の優遇の問題や、特に子供の問題(非嫡出子となる扱いの問題、別姓の問題)があることから、若いカップルが積極的に活用されるかという点では疑問ですが、1つのライフスタイルとしての支持は確実にあることでしょう。また熟年層の選択肢として今後大きな存在となる、そのようなスタイルではないでしょうか。
近年ではフランス婚=事実婚希望者同士の婚活パーティが開催されるなど、徐々に注目が増すフランス婚という選択肢、あなたならどう捉えますか?
当シリーズ(意外と知らないあの国の婚活事情~フランス婚)は以下の文献を参考とさせていただきました。
- 「出生率の回復とワークライフバランス」丸尾直美/川野辺浩幸/的場康子編 中央法規
「結婚の比較文化」小檜山ルイ/北條文緒編 勁草書房
「フランス 新・男と女」ミュリエル・ジョリヴェ著 鳥取絹子訳 平凡社新書
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