カルテ10 会ってみたら
ネットで知り合った女性と初めて会う・・・、誰でもドキドキしてしまうことでしょう。しかし、いざ会ってみるとその印象の違いにギャップを感じてしまうこともあるようです。
患者(こーすけさん 23歳 会社員)の携帯が鳴り、メールが届いたことを知らせている。
しかし、彼の気分は憂鬱だった。
メール相手の女性とは数ヶ月前にネットのコミュニティサイトで知り合った。
彼女は送られてくるメールの文面からも明るい印象が感じられ、
やり取り自体も共通の趣味の話題などで盛り上がっていた。
実は、先日このメール相手である女性とオフラインで会う機会に恵まれたのだが、
その時のイメージから今ではメールのやり取りを行うことに若干のためらいを感じているのであった。
彼女と会うその当日、事前にメールで決めた待ち合わせ場所である
都内某所の公園へと向かう患者。
その最中、彼女から
今、わたしも向かってますー
楽しみだけどちょっとドキドキ~(〃∇〃)
というメールが送られてきた。
『これで、すっぽかされる心配はなさそうだな』
患者は安堵するとともに、彼女に会えるという期待に胸を躍らせるのであった。
その期待のせいか自然と足早になっていたようで、約束の時間よりも若干早めに現地の公園に着いた。 メールで連絡が取れるので行き違いになることは無いのだが、やはり彼女のことを探してしまう。
しきりに周囲を気にする患者。 はた目からだと挙動不審に思われそうだが、当人にすればそんなことは全く気にならない。
着きました~
公園の噴水のところにいるんですけど、
こーすけさんはどこにいるんですか?
「きた!」
とっさに噴水がある方向へと目を向ける患者。
確かに、そこには女性の姿が見える。
『とうとう彼女とご対面だ!』
焦る気持ちを抑えつつ、患者はゆっくりとそちらへ近づいていく。
そして、向こう側を向いているその女性に意を決して声を掛けた。
○○さんですよね?
はじめまして、こーすけですー
その声に呼応して彼女が振り返る。
あっ、はじめまして・・・
『あれ、なんか暗くないか・・・!?』
明らかなギャップを感じる患者。
その女性は、メールでのそれとはかけ離れた雰囲気を漂わせていた。
常にうつむき加減で、明るさというモノが感じられない。
メールでやり取りをする時のように話題を振っても、「はぁ」とか「ええ」といった素っ気無い答えが返ってくるばかりであった。
その後も会話は全くといっていいほど盛り上がらず、結局1時間ほどお茶を飲んだだけで別れるに至った。
その1時間という短い時間ですら、患者にとって苦痛だったことは言うまでも無い。
こないだはありがとうございましたー
あんまりお話できなかったけど、またお会いしたいですぅ♪
実は、今見たい映画があるんですよ~
一緒に見に行きませんか!?(><)
「・・・」
確かに、メール上での彼女は明るく魅力的だ。
しかし、それはあくまで“メール上”での話であって・・・。
実際の彼女を知ってしまった患者。
今後、どのような付き合っていけばよいのか?
それを考えると憂鬱になるのであった。
対人関係において印象のギャップは付き物である。
特に、ネットでの付き合いは相手の姿かたちが見えない状態で行われる場合がほとんどであり、そのギャップはリアルでの人間関係よりも強く表れてしまう。
そのことから、“ギャップを感じてしまったからもうダメだ”ではなく、“それを良いものにしようとする努力”がネットにおける付き合いでは更に重要だと言えるであろう。
あなたとして見れば、『運が悪かった』と言いたいところなのは分かります。
しかし、メールでの印象がその相手の全てだと思い込んでしまった事も、ギャップを生む原因となっているようには感じられます。
とりあえず、もう少し様子を見てはどうでしょうか?
彼女も初めてのオフラインで緊張していた、という可能性も考えられますし。
メールのやり取りを続けるうちにオンとオフのギャップも埋まっていくはずでしょう。
もし、それでもギャップが解消されない場合は、あなたの引っ張り方が悪いのかもしれません