カルテ9 最初のメールなのに
初めての相手へメールを送るとき、誰でもその内容に頭を痛めることがあると思います。しかし、いつの間にか順序を間違ったメールを送ってしまう人もいるようです・・・。
患者(小宮さん 24歳 小売店勤務)は悩んでいた。 先日、友人の誘いで参加したコンパで「おっ、ちょっといいな」と思った女性がいたのだ。
その場ではチャンスが無くあまり会話が出来なかったのだが、コンパの最後になってどうしても我慢できなくなった患者は、半ば強引につめよりメールアドレスを聞き出すことに成功したのであった。
しかし、いざメールを送るとなったときに限って、どのような内容にすればいいか全くといっていいほど思い浮かばないのであった。
『最初のメールはやっぱ無難な内容のほうがいいよなぁ』
とりあえず、送るメール内容の候補をいくつか挙げてみることにした。
こんにちは。
先日はありがとうございました。楽しかったです。
また機会があったらぜひお会いしたいと思いますので、
よろしくお願いします。
では失礼いたします。
「んー、硬すぎるな。」
やっほー!
こないだはサイコーに楽しかったよ!(≧▽≦)
また今度ヨロシクっ♪
んじゃ!
「ちょっと軽すぎるかな?」
他にもいくつか考えたのだが、どれもしっくりこない。
流石に『無難な内容』というものに限界を感じ始めた患者。
ここで思い切って方向転換することにする。
「こないだ見つけた夜景ポイントを使うか・・・」
そう思い立つと、とたんに気分が盛り上がってくるのを感じる患者。
『こうなったら次の約束を取り付けるくらいのイキオイでいこう』
早速インターネットを使い、その夜景ポイントまでのルートと所要時間を調べ上げる。
近くにある予約制のレストランもチェックした。
また、夜景がキレイに見えるように日の入りの時間を把握しておくことも怠らない。
その時間から逆算して、待ち合わせた後に映画を見る予定も組み込んだ。
映画のタイトルは今話題のカ○フーハッスルにした。
映画館の場所と上映開始時間、料金までしっかりと確認しておく。
このままでは詰まりすぎているので、ショッピングとお茶が飲めるくらいの時間的余裕を持たせる。
これらの時間の流れから判断して、待ち合わせは13時に渋谷とする。
そして、レストランは20時に予約を入れた。
あとは、彼女へのお誘いメールを送信するだけだ。
こんにちはー!
こないだは楽しかったです(^^)
また遊びたいんだけど、実は夜景がすごくキレイなトコがあるから、
一緒に行きましょう☆彡
待ち合わせて、映画見て、お茶とかショッピングとかしてから夜景・・・
って感じで考えてるんだ~。
レストランももう予約したから楽しみにしててよ!
それじゃ、○日の13時に渋谷でどうですか?
「完璧だ・・・、完璧すぎる!!」
完璧、なのかも知れないが意味がワカラナイ。
いつの間にか、もう夜景を見に行くことになっている。
普通の人ならば明らかに送るのを躊躇ってしまうような内容だ。
しかし、この完璧なプランを組み上げた達成感から、今の患者にそんな感覚は微塵も無い。 まさに満ち足りていた。
そのままのイキオイでメールの送信までを終えた患者。
当日が待ち遠しい。
しかし、その相手からの返信はこうであった。
えっ、ちょっと待って・・・
それまた今度会ったときにでもゆっくり話しましょう・・・。
無論、次の機会などない訳だが。
その後、再度コンパに誘われるというはもちろん、
メールを送っても返信されることは二度と無かった。
確かに完璧だ。
完璧にスルーされている。
患者はそこで初めて順序の間違いに気付いたのであった・・・。
知り合った女性に初めてメールを送るときは、誰でも考えてしまうもの。
相手と自分の性格、またお互いの間に漂う雰囲気や状況などを考慮して、
その場その場で順を追ったメールを送るのが普通であろう。
しかし、それらの要因を無視して飛躍した内容のメールを送ってしまえば、相手にギャップを与えてしまったり、拒否の意思を示されるのは当然である。 いきなりデートに誘うどころか、そのプランまで勝手に決めてしまうことなどは飛躍の極致だと言える。
とにかく順序を間違いすぎです。
最初は『無難な内容のメール』にしようと思っていたはずなのに、それが『デートに誘うメール』に置き換わるなんて事は普通に考えるとあり得ないと思うのですが・・・。
しかも、デートのプランまで練り上げてしまったのは、もはや飛躍というレベルすら超えています。
あなたは『順序を踏まえる』という意識がかなり欠落しているようです。