カルテ5 クリスマス狂想曲
街中がイルミネーションであふれるクリスマス。そんな中を一人で過ごすのは寂しいものですよね。しかし、直前に焦って相手を探しても良い結果には繋がらないようです。
患者(カズヤさん 26歳 商社勤務)にはいわゆる“メール友達”とされる女性が多く存在していた。 しかし、特定以上の関係を持った“彼女”にあたる相手はいなかった。
普段はそれでも良かった、が今は違う。
12月も第3週が終わり、街にはやたらとネオンが輝いている。
そう、今年もクリスマスが間近に迫ってきているのである。
徐々に華やかさを増す街の様子を眺め、今年もこのシーズンの到来を感じる患者。
『んー、クリスマスどうするかなぁ』
心の中でここ数年のクリスマスを思い起こす。
三年前は前の彼女と別れたばかりで、一人傷心に浸っていた。
一昨年は仕事帰りに会社の連中と勢いでナンパに繰り出すものの、見事に空振り。
その後、終電まで飲み屋で反省会。
去年にいたっては、取引先のお偉いサン(無論相手は男性)の接待でご機嫌取りにヘコヘコするばかりであった。
幸いなことに今年は仕事にも余裕があり、忘年会などはもう少し先の話だ。
ところが、クリスマスまであと4日と迫った12月20日になっても、当日一緒に過ごす相手の目処が全くたっていなかった。
冷静に考えれば、今から相手を探すには時間が無さすぎるように思える。
そこで患者の頭に浮かんだのが、
『携帯のメモリに入ってる女の子へ連絡してアポを取る』
という案であった。
「これなら行ける!まだ4日もあるし!!」
安直過ぎるように思えるこの案。
だが、患者にはそれを考える精神的余裕は無かったのである・・・。
まずはメールの文面を考える。
ういーす( ´~`)ノ
今度の24日、珍しく仕事が早く終わりそうなんだよね~
暇だったらご飯でも食べに行かない?
あえて「クリスマス」という言葉は使わず、過度な意識を持たせないよう配慮した。
「珍しく仕事が早く終わりそう」という部分もポイントである。
いつもは忙しいが、『その日だけは早く帰れる』という雰囲気を演出する。
「さて、このメールを誰に送ったものか?」
少し考えた後、患者はあり得ないような暴挙にでる。
携帯メモリに登録されている女性に対し、片っ端からメールを送ったのである。
むろん本文はコピペで、である。
A子にB美、C子に~etcetc…
危うく実家の母にも送りそうになったが、それは何とか回避した。
それ以外はまさに手当たり次第、メモリ内の女性へ順番にメールを送る。
あらかた送信し終わり、あとは返信がくるのを待つばかりだ。
最初にメールが返ってきたのは、ちょうど昨日やり取りをしたばかりのA子だった。
すいませ~ん、24日は友達と遊ぶ約束しちゃってるんですよー
せっかく誘ってもらったのにゴメンなさいです。。。(^^;
「ふむ、予定ありか」
確か、A子は学生だったと記憶している。
流石にこのシーズンは予定でいっぱいだろう。
『これは送った相手が良くなかったな』
こういう時の切り替えだけは早い患者、すっぱり諦め次の相手からの返信を待つ。
今度は自分と同様に社会人だと言っていたB美からの返信だ。
その日はちょっと用事があるからダメです。
ごめんなさい・・・
「ちょっと用事・・・って、オトコだろコノヤロー?!」
何故か腹が立ってきた患者。
その後も次々とメールは返ってくる。
返信内容を箇条書きで挙げてみるとこうである。
ゴメーン、もう予定入っててさぁ
友達とパーティーするから無理
カレシと旅行いくんだー☆彡 いいでしょ~♪
家族で教会のミサに参加しますので、その日は。
皆さんお忙しいんですねぇ
・・・ってまさか全滅か!??
納得のいかない患者。
そもそも、納得するも何も相手の都合なのだから仕方がない・・・はずである。
ショックを隠しきれないまま携帯のメモリーを再度チェックする患者。
「まだだ、まだ終わってない」
『最後の砦』となりえる子からの返信がまだなことを確認した。
地元の女友達C子(彼氏ナシ)
これは大丈夫なはずだ。
しかし、C子からのメールは患者にとってトドメの一撃となり得るモノであった。
あっはは、24ってクリスマスじゃん
なに、相手いないの?
で、アタシですかw
コイツ、最悪だ・・・。
こちらの思惑を読みきったC子の返し、完全に打ちのめされる患者。
結局、クリスマスの夜は一人寂しく過ごすハメになったのは想像に難くない。
周囲がにぎやかになるこの時期、一人身の男性にとっては寂しさもひとしおだろう。
しかし、直前になってから策を講じようとしても、既に手遅れとなっている場合が多い。
それに気付かないまま安直な方法を選択しても、状況が改善される可能性は低いであろう。
「急いては事を仕損じる」ということを強く肝に銘じ、早めに計画を立てるよう心がけたい。
ここ数年の状況から『一人身のクリスマスは寂しいモノだ』ということは分かっていた訳ですから、それに対する手を早めに打っておかなかったあなたに原因があるのは明らかです。 挙句の果てに、あなたが“最後の手段”と位置づけた女友達に「クリスマスの相手がいない」ことを覚られ、その事から精神的ダメージを受けているようではもはや救いようがないと言えるでしょう。
そもそも「手当たり次第に」ということだけで印象が悪いです。
考えなおしましょう。
あなたには『計画性』というものが欠如している可能性があります。
この時期にピッタリの書籍がみつかりましたので処方しておきます。
これを参考にして、ご自分なりの計画をシミュレートしてみてください