カルテ1 待ち合わせをすっぽかされた
会ったことがない人との待ち合わせ。昔はそんなシチュエーションは稀でしたが、インターネットが普及した現在では十分あり得る事態です。今回は実際にすっぽかされてしまった一例をご紹介。
患者(和夫さん 25歳 会社員)は、以前よりメールの交換を行っている女性と数ヶ月のやり取りを経て、ついに先日都内某所で会う約束をとりつけた。
患者の舞いあがりっぷりはかなりのもので、予定日の数日前から相手の女性と一緒に食事をする店をリストアップしたり服装に頭を悩ませたりと準備に余念が無かった。
そして当日、このウカレポンチな患者は自分に悲劇が待ち受けていることなど全く知るよしもなく、意気揚々と待ち合わせ場所へと向かったのである。
待ち合わせの時間は14:00。
所定の場所でソワソワしながら相手の女性が来るのを待つ。
しかし、約束の時間を20分ほど経過したにも関わらず、相手の女性は姿を見せる気配がない。
患者は心配になり、「どうしたの、何かあったの?」という内容のメールを送信するものの、女性からの返信は無かった。
結果として30分ほど待ち続けたが、女性は現れなかった。
メールも音沙汰が無いことから判断して患者はその場を立ち去った。
翌日、患者が女性にメールを送信したところ返信があった。
以下はそのメールを転載したモノである。
「昨日はゴメンね☆彡」
時間に間に合うように13:00には家を出たんだけど、駅に行く途中のスーパーの前で迷子になってる子がいてね、その子のお母さんを一緒に探してあげてたらすごい時間になっちゃって・・・ 今から行ってもたぶん待ってくれてないかなー、って思ってそのまま帰っちゃいました。ホントにゴメンね~♪ あ、その子は無事にお母さんと会えました♪
やけに説明的なメール。
バレバレである。
だが、患者はこのメールで女性の安否を知り安堵する。
それだけではなく、
「俺はなぜもっと彼女を信用して待ち続けることができなかったのか?」
・・・とさえ思ったと言うのだ。
どうしようもない空転っぷりだ、としか言いようが無い。
これらの事柄から、患者は自分が今後どのように行動すれば良いのか考えあぐねているようである。
「次の約束をしたいのだが、相手の迷惑にならないだろうか?」
という不安を感じているのだ。
不安に感じる部分がかなりズレているが、その点にはこの際触れないことにする。
患者の相手女性に対するハマり度合いはかなり高い。
故に冷静さを失い、判断機能が麻痺しているものと思われる。
これはまさに「恋は盲目」という言葉が当てはまる。
「相手を信じきる」ということは「自分もそれなりのリスクを背負う」ということでもある。
「信じる」ことと「疑う」ことは表裏一体。
人を信じるためにはそれなりの条件が必要なのである。
もっと冷静になりましょう。
信じるだけではなく、時には「相手を疑う」という行為も必要です。
相手の言っていることが本心なのかどうか。
またはどういう狙いがあっての言葉なのか・・・。
それを見抜けるよう常に意識して接するべし。
良い本があるので処方しておきます。
3日以内に服用してください。