【第23回】『企画する』ということ…
新人社員ナルミの「教えて編集長!」
第23回目は、“企画”ということについて。
「企画」「プランナー」なんて聞くと、とってもクリエイティブな仕事のイメージがあります。
就職希望職種としても、学生たちから人気があり、誰もが一度やってみたい仕事かもしれません。
しかし、私たちは本当に「企画」という仕事や、「企画する」ってことを理解しているのでしょうか?今回は、そんなお話です……
編集部員:ナルミ 今年の春、恋タメ編集部にやってきた、入りたてホヤホヤの新入社員。 明るく積極的な性格が災い(?)して、今回この企画に大抜擢。 入社一カ月目にして、すでに編集部のマスコット的存在。 |
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編集長:エアロ酢味噌 泣く子も号泣の、恋タメ編集部の名物”鬼”編集長。 …とは言え、義理人情に厚く、面倒見も良いので、実は意外にも(?) 皆に好かれている。 曲がった事が大嫌い。 ちょっと頑固で古臭い一面も…。 |
Scene 23 再び編集部にて…
うーん……、あっ!! えーーーーっと、、、うーん
どうしたんだ、浮かない顔して?
あっ、編集長。
じつは………………
あ、いや、何でもないです
何だ何だ、言うだけ言ってみろ。
バカモーン! はナシにするから
本当ですか? じゃあ……
じつは、最近ちょっと仕事にマンネリを感じているんですよね。
辞めたいだとか、つまらないだとかってことじゃないんですけど、
停滞感っていうんですかね……
まぁ、お前も入社して2年以上経ってるからなあ。
じゃあ逆に、今、興味のあることは何だ?
そうですねぇ……
プランニングやコンテンツの企画をやってみたいです!
オリジナリティだとかクリエイティビティとゆーのを磨いて発揮してみたい!
アイディアで勝負できるなんて、やりがいがありそうですしね!
うーん、
横文字を並べすぎなのはさておき、日本語訳したとしても、お前相当勘違いしてるな!!
えっ、どういうことですか。
あっ、編集長、額に青スジ……
耐えてるんですね、今……
もう喉まで『バ』が出かかってんだよ。
それはさておき、
たしかにプランナーや企画といった職種は、発想力や感性といったものが重要視されているイメージがある。
企画=新しい、未知のアイディアを出すことだと思われがちだな。
ち、違うんですか?(苦笑)
――――企画やプランナーって空想力勝負、発想力勝負! みたいなところがあると思っていたんだけど……。
つまり編集長の考える「企画」と私の考える「企画」に隔たりがあるってことなのかなあ……
大体な、ポンと思いついたことや考えたことのすべてがそうそううまくいくと思うなよ。
特にお前のような経験値の少ないヤツが机上で考えたことが当たるなんて、滅多にないぞ。
それこそ『企画倒れ』だ!
うぅ、そりゃわかってますけど……イバラの道だろうってことは。
いや、わかってないだろ。
わかっていたら出てこない発想だからな。いいか、企画系の仕事をしている人の多くは、
マーケットやユーザーなどの顧客の現場に立って、
ほんとうに求められているものは何か
(ニーズ)
それはどうしてなのか。その背景にあるものは何なのか(背景、要因)
その上で自分は何が提案できるのか
(価値・サービス・商品)
を徹底的に考え、
ああでもないこうでもないと悩みながらプランを練っているんだ。
お前、そんな姿勢や視点が必要だなんて、ぜんぜん、ちっとも、これっぽっちも考えてなかっただろ
そ、そんなに力強く言わないで下さい!
……考えてませんでしたけど
それでもその企画が当たらないことの方が圧倒的に多いんだぞ。
それほど、ちゃんとしたものを企画するというのは難しいのだ!!
じゃ、じゃあ編集長! もし私がプランナーになりたい場合は、どんなことを勉強したり、経験すればいいんですか?
経験が少ないというのなら積みますっ!
――――そうだ、経験が少ないと怒られるんだったら積めばいいんだ。
でもただ漠然と、関係のないことを経験するのは……ちょっとイヤ(照笑)
ほぉ、いい負けん気だ。
なら、教えてやろう。まず、世の中で一番多く、かつヒットする『企画』は間違いなく
『課題解決策』である。たとえば……
・ワンボックスカーのドアをスライド式にする
・ボールペンの指で持つ部分を太くし、かつ柔らかい素材にする
・灰皿の淵にタバコの太さのくぼみを入れる
・ヤクルトの容器の胴体真ん中の細くなった部分を、滑らないよう指を巻けるようにする
あと・・・
コンビニのレジ横に、普通の棚では目立たない『チョコ』や『大福』を並べるのも、そうですよね!
そうだな。
少しニッチだが、いい着眼点だ。
それらは全てに『必要なわけ』があり、それで『誰かが喜び』、『何かが解決している』。
つまり実利的な課題解決力、これこそが企画力といえる!!
――――なるほど言われてみると、アイディアって空想の世界の産物のようなイメージがあったけど、地に足がベッタベタについたところから生まれてくるものだったんだ……。何だか目からウロコだなぁ。
ぅわっかりましたー! じゃ、その課題解決力をつけるのは、どうしたらいいんしょう? マーケティングの本を読むとか?
そういったことももちろん大事だが、日常でも磨くことはできる。デート、合コン、飲み会、旅行など、
複数で楽しむことには企画が付き物だろう。
もしこれをさっきお前が言ったように、
思いつきや空想、『何となく良さそう』といった程度でプランニングしたら、
現実に可能なものとはかけ離れて、参加者や彼氏・彼女に退屈な思いをさせたり、不満を持たれたりするかもしれないだろ?
……経験あります。ノリだけで突き進もうとして突き進めなかったことが
課題解決と言ったら大げさすぎるかもしれないが、
・みんな、あるいは相手は何が好きなのか、
・何に興味があるのか
・何を知ったり体験したら、驚いたり喜んだりするだろうか
常日頃からそういった切り口で相手を観察したり、リサーチしたり、会話の中からヒントをつかんだりを心がければいい。
流行の情報を雑誌やネットでチラ読みしておくことも大事だな。
なるほど~。常に自分を『情報収集モード』にしておくってことですね!
その通り!
そういう蓄積が、いざという時の企画立案のベースとなり、企画倒れを防ぐのだよ。
そうなんですね……
うーん、うーん、
じゃあどうしようかなぁ??
ん? まだ何かわからないことがあるのか?
そうじゃなくて、
今日は編集長の『バカモーン』が出ていないから、
イライラしているんじゃないかなって。
だからどんなふうにボケたら
自然に出してもらえるだろうって考えていたんです!!
ぇっ、、、、、 お、俺は……いい部下を持ったよ……