【第14回】創意工夫
新人社員ナルミの「教えて編集長!」。
第14回は”創意工夫”は大切!というお話。
創意工夫って言うと、何かを作る時とか、クリエイティブな物を想像しがち。
でも、日常生活、恋愛においても、創意工夫は重要なのです!
…今回は、そんなお話なのです。
編集部員:ナルミ 今年の春、恋タメ編集部にやってきた、入りたてホヤホヤの新入社員。 明るく積極的な性格が災い(?)して、今回この企画に大抜擢。 入社一カ月目にして、すでに編集部のマスコット的存在。 |
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編集長:エアロ酢味噌 泣く子も号泣の、恋タメ編集部の名物”鬼”編集長。 …とは言え、義理人情に厚く、面倒見も良いので、実は意外にも(?) 皆に好かれている。 曲がった事が大嫌い。 ちょっと頑固で古臭い一面も…。 |
Scene 14 就業中のオフィスにて…
はぁ~、今日は朝から、大っ量の資料のコピーをホッチキスでまとめる作業ばかり。この部署ではいちばんの新人だから、私がやらなきゃいけないっていうのはわかるんだけど、何時間もこんなことやっていると、さすがに腐ってくるわぁ~。
もーお、適当にまとめて適当に留めちゃえ!
……なんてことはとてもできないよね、はぁ~
どうだ~、資料作り、進んでるか?
次の全社会議で使う大事な資料だからな、順番を間違えないようにしっかり作ってくれよー!
ひぇぇっ!
へ、編集長!
……お前、何をそんなに焦っているんだ?
ななな、何でもありません!
はっはっは。
おおかた『資料づくりってつまらないなー。適当にまとめて適当に留めちゃおっかな~♪』なんて思ってたんじゃないのか?
ししししっ、失礼な!
そうは思いましたけど、実行はしていないです!
……ハッ!
やっぱり……
しまったぁ~!
来る…来る…例のアレが来るッ!
さよなら世界!!さよなら私のささやかな日常!!
ふぅ~。
まぁ、確かにそうだろうな。
コピーを延々ホッチキスで留めるだけの作業など、面白いワケがない。
仕方がない、俺も手伝ってやろう。ほら、そっちの束を貸せ
ぎゃああ……あ…って、あれっ?来ない?!
あ、はい、お願いします……
まぁ、新人の頃は特にそうだが、どんな仕事をしていても、つまらないルーティンワークをこなさないといけないときはある。
それを楽しんでやれるように創意工夫できるかどうかが……
あれぇ~?
今日は例の『バッカモーン!』がない…。
編集長、どうしちゃったんだろう?
はっ!まさかっ!
今夜あたり地震とか来るのとか…!
……お前、人の話を聞けよ。
わっ!すいません!
意外だったもんで……
…まぁいい。
とにかくな、こういう一見つまらないルーティーンワークを創意工夫してできるかどうかが、ルーティーンワークだらけの毎日を抜けて一人前になったときにも、より創造的に仕事ができるかどうかの分かれ道になってくるんだぞ。
え~っ、そうですかねぇ~?
おぅ、反論がありそうだな
だってコピーを延々まとめて延々留めるだけの作業に、創意工夫する余地なんてないように思えますけど……
バカモン。
初めからそれが目に見えてわかるような楽しい楽しい仕事なら、お前は金を払ってやらなければならんわ。
そういうことはな、自分で考えて自分で見つけるからこそ価値があるし、成長にもつながるんだよ。
例えば!!
た、例えば?
こんなふうに大きさが違うものや、縦横の異なるものを留めるときには、流れ作業しやすいように最初から置く位置を工夫したりだとか、まず紙だけまとめて後で一気に留めるだとか……
ほらな?
頭を使えばいろいろ思い浮かぶだろう?
おおお、さすが!
あっ、でもぉ~
何だよ?
まだ何かあるのか?
でも、そういう思いつきの中には、編集長の経験値があるからこそ出てくることもあるんじゃないですか。
私みたいなヒヨッコにはなかなか思いつかないこともありそうで……
バッ……バッ……
え?え?え?
まさかの、ここで!!?
しまった! 油断してた!
バカモーン!!!!!
ギャー!!!!
いいか!こういうことはまず目的から考えていくんだ!
この作業の目的は、間違いのない構成の資料を作ること。そうだな?
は、はい、そうですぅぅ~…
――――目的から、か。あんまり考えたことなかったな。
いっつも目の前のことを片付けるのに精一杯で。逆から考えるってことだよね。
作業に使えるスペースの大きさだとか、1部作るのに最低掛かる時間だとか、はたまたお前自身の器用さだとか、そういうことを複合的に考えて、どうしたらもっとも効率的に動けるか、頭の中で整理してみるんだ。
目的がはっきりすれば、順序立てて考えられるようになるはずだぞ?
確かに……そうかも…。
そうかも、じゃなくて、そうなんだ。
他業種での例えになるが、お前もコンビニなんかで、次のお客さんを待たせながらトロトロ作業している奴を見たことがあるだろう?
ありますあります!
イライラしますよね~、ああいうの。
販売や接客サービス業などは特にわかりやすいが、ドリンク、食事の配膳の順番や持ち方、レジの袋詰めなどは、瞬時の創意工夫が大いに生かされるんだ。
『お客様への提供時間をなるべく少なくすること』という目的から逆算した効率化ができる奴とできない奴の差は、端から見ていても一目瞭然!
あっ、でも、ほら!
たとえば、単純にのんびり屋さんな性格だったとか…
性格がまったく関係ないとは言わんが、創意工夫を念頭に置いて仕事をすれば、どんな性格でも、行動の順番ぐらいは考えられるだろう。
よく言われる『気が利かない』とか、『ちんたらやってる』というのも、結局は効率を良くするための創意工夫が足りていないってことなんだよな。
うぅ~、なんだかプレッシャーを感じてきました。
創意工夫がなければダメ人間!って言われてるみたいで……
――――創意工夫したほうがいいっていうのはわかる。
でもしなきゃいけないって言われると、ちょっと気負っちゃうなぁ~。
まぁ、まだお前は創意工夫の楽しさがわかっていないからだよ。
楽しいんですかぁ~?
創意工夫とは、効率化するノウハウを見つけて貯めるということだけではなく、『楽しみながら仕事をする』ことにつながるんだ。
どんな単純なことも、目的を明確にし、頭を使って創意工夫して取り組めば自分の成長につながるし、成長を自分で感じとることができれば、すべての仕事が楽しくなってくるはずなんだよ。
ん? んん?
あぁ、そういうことかぁ~!
うんうん!
ん?
何を一人で納得してるんだ
どんな仕事をしても、すぐにものにして楽しんでいる人って、創意工夫ができる人ってことなんですね、きっと!
その通ーーーり!!
仕事が楽しいというのは、毎日の生き甲斐にも直結する。
つまり創意工夫できるかどうかは、生き甲斐を持てるかどうかにも関わっているのだ!
なるほどっ!
日常生活にもいえることだし、もちろん恋愛だってそうだぞ。
デートひとつとっても、限られた時間を2人で楽しむという観点から見た、ちょっとした創意工夫があるかないかで、楽しさの度合いも変わるもんだ。
いっつも決められたコースを辿るだけだったり、雑誌に載った店しか行かないなんてつまらないですもんね。
いつもと同じ所に行くとしても、待ち合わせ場所や行き方を変えたりするだけで面白くなりそう!
――――たしかに、日常生活のレベルで気負わずに考えると、創意工夫って楽しそう♪
まずは日常生活での創意工夫から始めてみようかな~。
イコール、彼・彼女とのデートは楽しい、となるわけだな。
仕事においても生活においても、常日頃から疑問(問題意識)を持ち、提案したり実行したりできる人間は魅力的に映るもんだ!
与えられたことを何も考えずイヤイヤこなしたり、楽しようと手を抜くばかりの人とは雲泥の差ですね。
それに効率や時間を問題にするのではなく、いかに『手を抜く』『サボる』『楽をする』という観点から物事を考えると、結果的には楽にならないことが多い。
楽にならないどころか、量が増えたり、大抵はチームを外されたり、評価が下がったりと散々なことになる。
効率化や創意工夫は、更なる好結果を念頭に置いて考えるものでないとダメなんだよ。
ふっふっふ……。
ですよね~!
な、何だ、その不敵な笑みは
編集長!
編集長の手元を見て下さい!
なッ、なんだと……ッ!
これは……資料が全部順番どおりに並んでいる……だと……!?
そうです、編集長は喋り始めると止まりませんよね!?
そのリズムに乗って軽快に手を動かしていただきましたっ!
編集長の動きが止まらないようなペースで合いの手を入れつつ……。
これで後はホッチキスで留めるだけです!
お前、何気にすごい特技じゃないか、それ……。
編集長にバカモンバカモン怒鳴られ続けた半年間の成長の結果です!
むぅ…何だこのやりきれない感じは……。
じゃっ、編集長、ありがとうございましたー!
とっとっと……
(ナルミ、盛大に躓く)
うわああぁぁぁぁ!!?
(ナルミ、盛大に転ぶ)
あぁっ!!
わぁぁーっ、まとめた資料が全部パーに!
わ~はっはっは!!
もう一度創意工夫して頑張れよ!
うわーん!