【第24回】『キャラ』の弊害?
新人社員ナルミの「教えて編集長!」
第24回目は、“キャラ”ということについて。
少し前からよく使われるようになった“キャラ”って言葉。
友達同士や知り合いなんかを例える時も「××キャラ」って言うとイメージしやすいし、
ご存知、「ゆるキャラ」なんて、市民権を得た言い方ですね。
でも、この“キャラ”って表現。実は、使いやすい反面、色んな弊害もあるとか。今回は、そんなお話です……
編集部員:ナルミ 今年の春、恋タメ編集部にやってきた、入りたてホヤホヤの新入社員。 明るく積極的な性格が災い(?)して、今回この企画に大抜擢。 入社一カ月目にして、すでに編集部のマスコット的存在。 |
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編集長:エアロ酢味噌 泣く子も号泣の、恋タメ編集部の名物”鬼”編集長。 …とは言え、義理人情に厚く、面倒見も良いので、実は意外にも(?) 皆に好かれている。 曲がった事が大嫌い。 ちょっと頑固で古臭い一面も…。 |
Scene 24 午後のオフィスにて
あ~、マンダくん、また資料の書き方まちがってるよ……
どうした?
あ、いえ、新入社員のマンダくんが、
いくら言っても正しい資料の書き方を覚えないんですよ。
まぁしょうがないかなぁ。
彼はあわてんぼうのドジっ子キャラだし。
…………キャラ?
うわ、今、編集長のまわりの温度が3度上がった!
なんでそんなことがわかるんだ?
節電対策に何か使えるかと思って温度計を持ち歩いてるんです。
ホラ。ていうか編集長、まずは落ち着いて! 節電に協力して下さい!
わかった……が、これだけは言わせてくれ。
バカモーン!!!
ひぇぇぇぇっ!
と、ところで編集長、今日はまたなんで……?
キャラって言葉に見過ごしがたい何かがあるんですか?
あるあるあるある、大アリだ。お前、そのキャラって言い回し、たとえばどんなときに使う?
えっ、あ、そうですね~。
仲間内や気の置けない相手、
そうでなくても個性のはっきりした人相手に使いますね……。
キャラの内容はその人の性格や、
周囲からの評価などで決めることが多いです。
キャラが立つとか、キャラがかぶってる、なんて言い方もしますね(笑)
つまり、一種のカテゴライズなわけだな?
あ、そうそう! まさにそうです!
でもカテゴライズってほどカタくなくて、自分をアピールしたり、
友人を他人に紹介するときにひとこと付け加えられる便利な言葉って感じですね!
――――バラエティ番組でもよく使ってるし、今や日本語の一部って感じだよね、キャラって言葉は。
カテゴライズなんていうと背筋を伸ばしたくなっちゃうけど、受ける印象はちょっと違うかな……
だが、カテゴライズはカテゴライズだ。
逆に自分や言われた相手を縛ってしまい、
前進を阻むことになる危険性をも持ち合わせているとは考えられないか?
うーーーーーん……まぁ、それはそうですけど…………
でもそんなにマジメに考えたことない……(小声)
いいか、もともと人に生まれ持ったキャラなどない。
周囲とのコミュニケーションによって何となく役割分担が決まっていき、
まわりの人に「君はこうだね」と言われて初めて自覚して、
それに沿って「演じて」いくものだ。
キャラづけの決定要素となるのは、仲間内でのポジショニングであったり、自分との差別化であったりさまざまだが、
キャラづけされた後は、その枠に合った自分でいなくてはいけないという無言の圧力を受けることになる。
圧力なんて言うと大げさですけど、でも「演じている」というのはわかる気がします。
何かしようと思っても、「こんなの自分のキャラじゃないかも」って思うと、やめちゃうこともあるし。
――――何となく「キャラどおりの自分でいなきゃ」って思っちゃうんだよね。急にキャラを変えたら、人間関係のバランスが崩れちゃうような気もするし……
それも「キャラづけ」の弊害だな。
そもそも人間は、年代やそのときどきのステージ(学校、職場、仕事など)で、
まわりの影響を受け、成長し変化していくものだ。
最初はおとなしかった人が仕事を通して明るくなったり、
口下手だった人が話し上手になったり、真面目一徹だった人がひょうきんになったり!!
それは……わかります。うちの会社でもそういう変化を経て頼もしくなった人、いますもんね!
そうだ。
そういう連中はキャラづけをされなかったか、されても大して気にしなかったんだろう。そうではなく、いっときのステージでのキャラづけによって「自分はこういうタイプだ」
「仲間内ではこういう位置づけだ」と思い込んだり、場合によっては次のステージでもそれを押し通そうとしたり、
せっかくの成長のチャンスを「キャラ」という概念の前に逃してしまう奴もいる。
でも、自分にピッタリ! と思えるキャラづけをされると、居心地がよくなっちゃうのもわからないでもないんですよね~。
実際私もそういうところ、ありますし。
――――うん、キャラづけって、けっこう自分で望んでしてもらっている部分もあるかも。
甘えだな。
繰り返すようだが、キャラとは自分をあるひとつの枠の中に囲いこむ鎖でもあるのだ。
そんな居心地の良さ、自由な精神と引き換えにしてまでほしいものか?
ほっ、ほしくないですぅぅぅ!!
よく言った!
さらに問題なのは、キャラづけとはまわりや相手が感じてなされるものであって、
自分で発信するものではないということだ。
仕事、恋愛など、相手と腹を割ったコミュニケーションをしたり、
人となりを見合う場面では、キャラづけがマイナスになってしまうことのほうが多いんだよ。
あ、なるほど。
たしかにキャラってある一部の人の評価であって、
それが絶対的に正しいわけじゃないのに、そういう印象を与えてしまいますもんね。
よーし、じゃあ私も今日から脱キャラづけを目指します。
私のキャラも返上です!
ほう、お前、どんなキャラづけをされていたんだ?
……ズバリ、食いしん坊キャラです!
と言いつつ、そこのお菓子に手が伸びているのはどういうことなんだ・・・。