【第20回】『あやまる』ということ
新人社員ナルミの「教えて編集長!」。
記念すべき第20回は、“あやまる”ということについて
せっかくの連載記念になんともネガティブなテーマです(涙)
私もそうですが、やはり謝ることって皆さん苦手ですよね。怒られたりクレーム入れられたりした後の「謝る行為」は、どうしても気分が滅入ったり、反対にムカついたりします。
でも、人に謝ることで何かが生まれることってあるんです。
もちろん、ビジネスだけじゃなくプライベートでも。
さて今回は、そんなお話です……
編集部員:ナルミ 今年の春、恋タメ編集部にやってきた、入りたてホヤホヤの新入社員。 明るく積極的な性格が災い(?)して、今回この企画に大抜擢。 入社一カ月目にして、すでに編集部のマスコット的存在。 |
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編集長:エアロ酢味噌 泣く子も号泣の、恋タメ編集部の名物”鬼”編集長。 …とは言え、義理人情に厚く、面倒見も良いので、実は意外にも(?) 皆に好かれている。 曲がった事が大嫌い。 ちょっと頑固で古臭い一面も…。 |
Scene 20 夕刻の編集部にて…
ただいま戻りましたー!!
打ち合わせに外出していたのか。ご苦労ご苦労……ってどうした、ムスっとして。何かあったのか?
うぅぅ~
編集長!くっ、悔しいです!
ん? 何が?
先日の取材原稿の件、納期に間に合わなかったじゃないか! って先方に怒られたんですけど
それはあっちにも確認見落としの手落ちがあったんですよ~。なのに何となく、こっちだけが謝らないといけないムードになってしまって……
それで謝ったのか?
はい、謝りました。謝らないと収まらなさそうな雰囲気だったんで……
そうか、それは大変だったな。
だが、よくやった!
へ!? どうしてですか?
私、編集長にも怒られるかと思ってました。
『バカモーン』って言われる覚悟もしてたんですよ?
耳栓までつけてたのに……
お前な……。
まぁとにかく、何を怒られると思っていたんだ?
だって謝ることで、「こちらが悪い」って認めちゃったわけだし、今後まずくないですか?
『謝る=自分のミスを認めた』とか、
『頭を下げる=自分が相手に負けている』
というようなイメージがあるんだろう
まぁ、それも間違っているとは言わないが、少なくともビジネスにおいては『謝る』ということをもう一歩深いところで考える必要がある
謝るに浅いも深いもあるんですか~?
まぁ聞け。
まずひとつ尋ねるが、もしもこれが自分の不手際から出たミスだったら、お前は素直に謝れるか?
もちろん、自分のミスでしたら謝らないといけないと思います! 素直にお叱りを受けます!
よし、それがちゃんとできるなら理解できるはずだ。
今、問題にしているのは自分のミスではなく、
相手の不手際や勘違いで相手が怒っている場合。
つまり今回のお前のケースだな。
これはな、じつは大きなビジネスチャンスでもあるんだよ
うわーん、ますますわけがわからなくなってきましたぁ~!
単純な話だよ。
相手が怒るのは、相手に自分の非を認めてほしいからだ。
それを認めないからどんどん熱くなって、話がどうしようもなくこじれる。
だったら話がこじれる前にまず謝ってしまえば、
相手も冷静になって、自分の非にも気がつきやすくなる。
素直に謝まられると、人間、それ以上怒ったりクレームをつけたりしにくくなるんだよな。
怒りをぶつけることで気持ちが落ち着いてきて、
しまいには怒ったことを反省し始めたりもする
あっ、それわかります!
私も前にデパートで買い物したとき、注文したものと違う商品が届いちゃったんですが、
相手が平謝りしてくれて、怒ろうという気が失せてしまったことがあります~。
なんだか、すっきりしちゃったっていうか……
うん! そのときに
『自分も相手の言い分をちゃんと聞こう』だとか、
『自分にも非はなかったか確認してみよう』
などと思えただろう?
はい! それに相手への信頼感も増したような……
そんな気がしました
そこだよ! 『謝る』というのは、正しいかどうかはさておき相手の言い分をいったんきちんと受け止めてやるということだ。
決して自分の非を認めるというだけの行為じゃないんだよ。
言い分をきちんと聞いてくれた相手には、そうそう滅多なことはできないだろう。
それを、『オレは悪くない』
『何で謝らなきゃいけないんだ』
と自分を押し通そうとするのは愚の骨頂!
それじゃあいつまで経っても双方の距離は離れていく一方だ
あっ、『プライドが必要』の意味がやっとわかりました!
一歩譲って相手を受け止めるって、自分に自信がないと確かにできないですよね
あぁ。
アツくなっている相手にこちらの主張や立場を理解させようとするのは意外と難しいし、説得するのはよほどの力量が無ければできない。
相手にだって同じように主張や立場、都合があるんだからなおさらだ。
それがこちらが謝ることで空気が緩んで、説得するよりもあっさり分かり合えてしまうこともある。
そういう『一歩譲り型』の付き合い方ができるようになるには、やはりある程度の経験値や懐のデカさが必要だ
空気をよくするためというだけではなくて、
『何だと~!』と思いたくなるときに自省ができるというだけでも、器の大きさを感じます。
そういう人って恋愛もうまそうですよね~
はは、そうだなぁ。
感情的になるという意味では、恋愛は度合いがケタ違いだけどなぁ~
恋愛のほうがつまらない言い合いやケンカが多いですしね。
言った・言わないの水掛け論だの、食べ物は何が好きで何が嫌いだというような価値観の相違だの……
でも、受け止めるという部分は同じだからな。
自己主張ばかりで理解を求めたがる人と、まず素直に謝れる人では、どちらが信用・信頼され、モテるか一目瞭然だよな。
って、どうした、PCの画面なんて覗き込んで
さっき打ち合わせした相手からメールが届いたんですけど……
先ほどの件はこちらにも内容確認において非がありました、申し訳ありませんでした
……って
おおっ、そうかそうか。お前の謝罪が向こうの反省を促したんだよ。
よかった、よかった。
じゃあさっそく仕事に戻るかー!!
なんか今回、気持ち悪いぐらい平和な終わり方ですね……
それにいつもの
『バカモーン!』もなかったし……
そっ、それが ………… 不満なのか?