【第5回】お食事デートの場所は?
新人社員ナルミの「教えて編集長!」。
第五回は、お食事デートで行くお店の話。
食事のデートと言えば、最初のデートの定番中の定番。
それだけに場所選びは、なかなか迷いますよね。
皆さんはどんな場所に行きますか?
夜景の見えるオシャレなレストラン?
それとも………。
編集部員:ナルミ 今年の春、恋タメ編集部にやってきた、入りたてホヤホヤの新入社員。 明るく積極的な性格が災い(?)して、今回この企画に大抜擢。 入社一カ月目にして、すでに編集部のマスコット的存在。 |
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編集長:エアロ酢味噌 泣く子も号泣の、恋タメ編集部の名物”鬼”編集長。 …とは言え、義理人情に厚く、面倒見も良いので、実は意外にも(?) 皆に好かれている。 曲がった事が大嫌い。 ちょっと頑固で古臭い一面も…。 |
Scene 5 朝のオフィスにて…
おっ、何を読んでるんだ?
あっ、編集長、おはようございまーす。
これですか?今朝キヨスクで買ってきた雑誌ですよ。
なになに?『絶対押さえたい!
女子に人気のグルメスポット 厳選50軒』?
オシャレなお店がいっぱい載ってるんですよ。
やっぱりデートするならこういうお店が良いですよね~。
……………。
……………。
…………………。
…………………??
バカモーーーーーン!!
え、えぇぇぇ~!!?
イキナリですか!?
今日はイキナリですか!!?
男がそんなチャラチャラしたところに行けるか!?
……とまでは言わんが、そういう場所はそもそも女同士でワイワイ楽しむ所だろうが!
うーん…いや…確かにそうかもですけど…。
男の人の姿も、あんまり見たことないし。
でも、やっぱり女の子の好みぐらいは知っておいてほしいですよ~。
まぁ、無駄な事だとは言わん!
が、俺から言わせれば、他にもっと知っておいた方が良い事があるんじゃないかと思うぞ。
(あ、あらぁ~、朝からスイッチ入っちゃいましたか…。)
へ、へぇ~。どんなことですか?
それはだな……。
“一流の店”だぁぁぁぁ!!
………へ?
一流??
そう、”一流”だ!
いわゆる老舗と呼ばれているところや、独自の伝統を守っているところ……まぁ、そこまでいかなくても、地元で名物とされていたり、口コミに左右されず『本物』と呼ばれているような店だな。
お寿司、魚料理、蕎麦、中華、焼肉、しゃぶしゃぶ、ふぐ……
えー、なんか年寄りくさーい。
だったらあたし居酒屋でいいですよ。高そうだし
ば、ば、ば……。
………ばばば?
バカモン!
バカモーーーン!!
バカモーーーーン!!!
ひぃぃぃぃ!?
衝撃の新展開!?
「バカモン!」のラッシュ!!?
若いうちだからこそ、そういうところの味を知っておく必要があるんだよ!
は、は、はいぃぃ!
それにな!
一流と言えども、丼ものやお好み焼き、餃子なんかだと、手軽な値段で楽しめる店もあるんだ!
うぅ…。
でも、一流なんて呼ばれているところに行ったら肩が凝りそうだし…。
――― 一流。
言葉の響きにまったく憧れがないと言ったら嘘になるけど、等身大で生きていきたい私や、同年代の人たちにとっては、きっと荷の重い言葉だろう。そういうのはきちんと「オトナ」している人たちでやっていて、って感じ。
いいじゃねぇか。
どうせ普段は『癒し』なんて言葉に踊らされて、気の抜けたコーラみたいな生活をしているんだから、たまにはピシっとしてみろっての。
気の抜けたコーラ…て。
喩えが古いですよ、編集長。
あ~、でも、やっぱり食事ってワイワイ楽しくやるのが一番だと思うんですよ。
だから別にファミレスやファーストフードでも…。
確かにそれも一理ある。
だが、そういうところでワイワイ楽しくっていうのは、食事というよりは雰囲気や場を楽しむ意味合いのほうが強くなってくるだろ。
あ。
確かにそうですね。
――― 食事を楽しむことと雰囲気を楽しむこと。
おいしい食事をするのに雰囲気は大切だけど、そう言えば逆は意外と成り立たない。確かに、食事がそれほどじゃなくても雰囲気にダマされちゃうことって、あるなぁ。でもそんなこと、今まで疑問に思ったりもしなかった。
っていうか、それって何かいけないことだったのかな?
雰囲気や場を楽しむのも大事なことだが、それとは別に『食事』そのものを楽しむ経験もしておいたほうがいいんじゃないかってことだよ。
それに、毎回行けと言ってるわけじゃない。
大人として一度は経験して、それがどんなものなのか知っておけってことだ。
隠れた穴場までわざわざチェックする必要はないが、『××と言えば○○』と言われるような有名店ぐらいは把握しておいたほうがいい。
う~ん。でも確かに、流行のお店よりは老舗のお店に詳しい男性のほうが、カッコよく見えますね!
勝手なイメージだけど、人間としての懐が深そうっていうか…。
その通ーり!
おぉっと。
いいところに気がついたじゃねぇか。
俺は実際、深くなると思うんだよな。
っていうのも、一流を知ることは、世の中一般でひとつの基準として確立されたものを知ることにつながるだろ?
そういう知識を得ると、自分の中に軸が一本立つんだよ。
若いうちに経験しておいたほうがいいっていうのは、そういう理由だ。
うん!なるほど~!
納得です!
お前だって、毎回ファミレスでしか食事しない男よりは、たまには『神田で美味い蕎麦を食べよう』って誘ってくれる男のほうがいいだろ?
うわぁ~、渋いですね~!
でも、確かにちょっと良いかも。
『この人、他の人とは一味違う経験をしてきているのかも』って、見る目が変わりそうですね。
友達同士で集まるときに、手土産に『××ロール、美味しいから買ってきたよ』ぐらいのことをやってみるのもオツだよな
あ。
うーん…でもぉ……
なんだなんだ、まだ何かあるのか
いや、やっぱり私たちのお財布事情では限界がありますよ。
安いところもあるって言っても、高いところのほうが圧倒的に多いことは間違いないんだし。
編集長、頻繁に行く必要はないって言ってましたけど…。
だったらなおさら、経験なんて言ってもどこまで積めるものか…。
でも、だからこそ一回一回の経験を貴重なストックとして頭の中に大事に入れておくことができるわけだろ。
回数が少ないってことは、前向きに考えれば、味わったものをじっくり『消化する』時間があるってことだ。本物や一流のものは、単に持ったり通ったりすることよりも、なぜそれらがいいものとされているのかを理解することに意義があるんだ。
少なくとも若いうちはな。
それが後々、何かの形で生きてくるものだ
――― そっか!
一流を知るっていうのは、単なる成金趣味なんじゃなくて(失礼!)本物の本物たるゆえんを知ることなんだ!
本物がなぜ本物と呼ばれるのか、他との違いはどこにあるのかということを自分で「体感」できれば、それはきっとこの先、生きていく上で、いろんなことに応用できるんだと思う。
ふーむ、わかりました!
それに、若いってことを逆手にとって利用する手もあるぞ?
え? どんなですか?
仕事でオゴられる機会なんて、若いうちの方が多いだろ?
会社で貰ったお中元やらお土産なんかも、みんなに配る前に一番ウマそうなのを、くすねておいたりな。
若いうちは茶汲みの仕事も多いから、そんなの簡単だろ?
若いうちは時間があるんだから、行列に端から並んでみるのも手だ。
まぁ、若いからこそのメリットも、多々あるって事だよ。
なろほどね~!
さっすが編集長!
今のアドバイスでなんだか勇気が出ました!
そうだろ、そうだろ!!
…ん?
…勇気?
いや~、ついでに白状しちゃうんですけど~。
実は昨日、編集長が留守のときにお得意先から、浅草の芋ようかんを頂いたんですけど、賞味期限が今朝までだったから、さっき編集長の分も食べちゃったんですよね~!
………………。
てへっ♪
………………………。
な、な、なっ…
なんだとーーー!!?
いや~、この○○って、老舗のですよね。
すご~く、すご~く、美味しかったですよ~☆
先ほど編集長が言ってた通り、ちゃ~んと頭の中に、大事~にストックしておきますから!
ちょっと待て…。
○○の芋ようかんって…
俺の大好物じゃねぇか。
ですよね~。
だって、凄く美味しかったですもん。
さすが編集長っ!
だいたい賞味期限が今朝までなら、十分間に合ってたじゃねぇか!
まぁまぁ編集長。
若者に一流を味わう機会を与えて下さいよ!