Repo.9 事実婚 (フランス婚) とは?
離婚した浜崎あゆみが×イチにならない?
式を挙げ、婚姻届をだしても『戸籍上独身』??
余計にややこしく感じるが、今後増えてくると予想されているのが事実婚です。
何年か前に「フランス婚」という表現でも話題になりました。
女優・夏木マリさんが結婚発表の際に、この結婚を「フランス婚」と説明されたことから一躍脚光を浴びた、これまで聞かなかったこの結婚スタイル。
これは特別なスタイルなのでしょうか。それとも実はこれまで国内でも存在したスタイルなのでしょうか。
実はこのスタイルは、フランスの歴史に残る革命が大きな役割を果たしています。
五月革命~知られていない恋愛革命としての側面
1968年にフランスで起こった「五月革命」。その2年前のストラスブール大学の学生運動が発端となり、労働者の団結権や高等教育機関の見直しなどを求めたこの革命を、学生時代に世界史の授業で学ばれた方も多いのではないでしょうか。
教科書に載っていない話ですが、この革命には他にも民衆側が求めた要求があります。私たち日本人の目線では非常にユニークな要求ですが、「フリーセックス」「自由恋愛」などに代表される「古い価値観を打破する20世紀のルネッサンス運動」という側面があったのです。
この2つのキーワード、思わず赤面してしまうようなキーワードですが、当時のフランス人のライフスタイルとしては譲れない要求の一つでした。
フランス政府の方策転換~フランス婚の誕生
五月革命後、フランス国内では結婚と事実婚の格差が埋まっていきます。
自由恋愛至上主義のフランス人は、形式に捉われずに愛し合うことを1つのスタイルとし、ユニオン・リーブル(=内縁)というスタイルを社会的に確立しました。
日本語にすると確かに「内縁」です。私達はドキッとしてしまうこの単語ですが、現在フランスでは法的手続き(=婚姻届)を行わないこのユニオン・リーブルという恋愛スタイルも「事実婚」として認められ、その事実婚は日本と比較して大きく法的に認められるところとなっています。
1999年にはついにPACS(連帯市民協約)法が制定されます。
財産分与を筆頭に、例えば同棲カップルにも夫婦と同等に近い権利が与えられます。条件は同居しているか否か。同居を条件にPACS契約を結ぶことで結婚と同等の権利を得られます。余談ですが同居している同性愛者カップルにもこの法は契約手続きを踏めば適用されます。本当に自由恋愛の究極系といえる法ですね。
同居が条件となるPACSを選択するカップルは年々増え続けます。2005年に税制上で結婚とほぼ同等といえる法的優遇権が付加されたことも後押しし、2007年のデータでは15%、約6組に1組のカップルが婚姻届を出していない事実婚カップルとしてPACSを選択しています。この年の出生児の約半分が未婚の両親から生まれたデータがあることから、PACS契約を行っていない事実婚者を含め、事実婚の割合は非常に大きいものとなっています。
フランスにて一般化され、市民権を得た事実婚。この事実婚がフランス婚と呼ばれ、日本でもこの言葉は広まっています。
フランス婚がフランスで広まる背景
フランスにて急速に増える事実婚ですが、フランスならではの背景がその要因となっています。
フランスでは離婚の際に、弁護士を立てて調停手続きを取らなければいけません。時間や手間、そして非常にコストが掛かるもので、勿論日本とは異なる離婚手続きです。
自由恋愛至上主義の側面がこれを嫌うのか、フランスの非婚カップル率は1962年の2.9%から1999年には18.2%まで増加、
中でも19~39歳の若年層は37.9%と極めて高くなっています。
ちなみに同居後5年間で結婚に進む割合は1987~1992年の調査データで31.0%と、20年前に調査した72.0%から大きく下降しています。
法的手続きに様々手間やコストが掛かる結婚より、手続きが比較的簡易で法的にも結婚と同等となった、フランスでの事実婚。
何より「2人が一緒に生活し愛し合えればそれでいいじゃないか」というフランス人の気質を踏まえると、フランスで事実婚が受け入れられることも理解できるものですね。そしてこの事実婚をフランス婚と称されるのも納得がいくところ。
度々の余談ですが、フランス人である元F1レーサーのジャン・アレジ氏と後藤久美子さんのカップルも婚姻届を出しておらず、フランス婚に該当します。3人の子供を授かり、幸せに暮らしているとのことです。
ところでご注意。いわゆるフランス婚と言う言葉自体は、事実婚を指すものです。
しかし言葉の独り歩きには要注意。一般的な結婚も当然フランスにはあり、その割合の方が依然大きいですからね。
次回はフランス婚のメリット・デメリットに触れてみたいと思います。
どうもありがとうございました。
当シリーズ(意外と知らないあの国の婚活事情~フランス婚)は以下の文献を参考とさせていただきました。
「結婚の比較文化」小檜山ルイ/北條文緒編 勁草書房
「フランス 新・男と女」ミュリエル・ジョリヴェ著 鳥取絹子訳 平凡社新書
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