カルテ12 返信してみたら
日常茶飯事のように舞い込んでくるスパムメールの類。その手口も日々巧妙化しています。ウッカリ返信してしまうと予想だにしないような展開に巻き込まれる可能性も・・・。
患者(秋山さん 25歳 教職員)の元に携帯電話会社から料金明細の郵便が届いた。
当人としては、自分の携帯電話の使用状況など分かりきっている事であったが、
一応詳細を確認する。
メール送信費 => 38円
・・・少ない。
それもそのはず、メールは友人との連絡で2度3度やり取りをしただけ、それ以外に使った記憶がない。 ここ数ヶ月、頻繁にやり取りする相手もおらず、メール送信費用は毎回2桁台をキープしていた。
「寂しいヤツだなぁ、オレって・・・」
そんな閑散とした状態が続いていたとある日、患者の携帯に一通のメールが届いた。
こんにちわ☆
こないだはありがとうございました~
また一緒にご飯食べにいきたいからメールくださいね!
まってま~す♪
「だれ?!」
全く見覚えがない内容だった。
そもそもここ最近、会社の同僚以外と外食をした記憶がないのである。
送信されてきたメールはアドレスが女性っぽいモノ、しかもフリーのアカウントのようであった。 無論、自分のアドレス帳にも登録されていない相手だった。
始めは返信するつもりなど毛頭なかった患者。
しかし、放っておくのも気分が悪い。
と同時に、このメールを送ってきた相手に若干ではあるが興味も沸いていた。
そして、先日届いた携帯の明細を見直す。
電話自体もあまり使っていなかったことから、無料通話分もほとんど残っている状況だった。
『まぁ、捨てるお金だしいっかなー』
少し考えた後に、この相手に返信してみることにした。
こんにちは。
なんか間違ってメール送ってませんか?
オレ、秋山って言うんですけど・・・
とりあえず、身に覚えがないメールが届いたという旨を送信する。
「さて、返事はくるのかねぇ?」
なんだか、新しい遊びを手に入れたような気分だ。
しかし、後にそれが間違いであった事を知るのだが・・・。
あちゃ~(><;
アドレス間違っちゃいました・・・
ホントゴメンナサイー(ToT)
「うおっ、返ってきた!」
そこで終わりにせず、患者は更にメールを続ける。
いえいえ、大丈夫ですよ
気にしないでくださいねー
すると、すぐさま次のメールが返ってきた。
ありがとうございますぅ♪
優しいかたなんですねー(〃∇〃)
「やべ、ちょっと楽しくなってきたっ!」
その後も流れに任せ、メールを続けること数回。
なんと、明日その相手と会うことになってしまった。
恐ろしく話の展開が速い。
普通に考えればあやしさ満点である。
しかし、患者は疑うこともせず『ラッキーだなーこれは』などと思っていた。
翌日、待ち合わせ場所にやってきた相手の女性は予想以上のかわいさだった。
いや、“かわいい”というよりも“キレイ”といった方が正しいだろうか。
OL風のスーツを着て現れたその女性は、患者の挨拶を待たずにこう言った。
「それじゃ行きましょうか。」
そして、連れて行かれたのはとあるビルの一室。
そこは事務的な机と椅子だけが置かれた殺風景な場所だった。
その中の一組を挟んで座った患者と相手の女性。
「では、説明を始めさせていただきます。」
えっ・・・、これってアレですか・・・
いわゆる一つの勧誘系。
その後、患者がどうなったかは定かではない。
いかにも怪しいメールに返信してしまったことがトラブルに巻き込まれた最大の要因ではあるが、それ以降にも気付くチャンスはいくつかあったはずである。
間違いメールがきっかけ(実際にきっかけにしているのは相手側なのであるが・・・)であったにも関わらず、“会うことになるまでの時間が恐ろしく短い”こと。
そして、“OL風の女性がやってきて、挨拶もそこそこに特定の場所へ向かおうとする”こと。 これらの点からも怪しさMAXだと気付いてしかるべきだと思われる。
まず大前提として、見知らぬ相手からのメールには返信してはいけません。
最近ではスパムメールの手口も巧妙化し、一見それとは分からないようなメールが送られてきます。
特に、今回のような『あたかもこちらのことを知っているかのような口ぶり』で書かれたメールが送信されてくるケースが増えているようです。
スパムメールは今後も進化を続け、私達の元へ送られ続けることでしょう。
このスパムメール自体を止める方法は無いように思われます。
しかし、それに対する姿勢を徹底することで、トラブルに巻き込まれる可能性は減らせるはずです。
この事を常に意識して、メールというツールを扱っていきたいものです。